鶴岡みらい健康調査について


武林 亨

慶應義塾大学医学部・先端生命科学研究所 教授


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 鶴岡みらい健康調査は、『未来の鶴岡を健康に!』を合言葉に、鶴岡市民・在勤者の皆さんの健康増進と疾病予防を実現する取り組みです。慶應義塾にとっては、地域に支えられて育んできた最先端分析技術と地域健康課題解決力を結集、「地域の健康」を実現することを目指しています。

 社会の成熟化とともに、医療・介護の時代とも呼ばれるようになった現代。予防と一層の健康増進を目指して、市民参加による大型健康調査が、日本あるいは世界の各地で行われています。市民の皆さんにご協力いただき、10年、20年かけて病気の予防に役立つさまざまな知見を明らかにしていくのです。鶴岡では、メタボローム解析を取り入れるという世界初の試みによって、より一層の予防医学の推進を図ります。メタボローム解析とは、からだの中で起こっている小さな変化を網羅的に捉えることができる画期的な分析技術で、いわば複雑な人間のからだの見取り図をひとり一人に描くようなものですから、10,000人を超える市民の皆さんのご協力をもとにして、新たな「健康と予防の鍵」を見つけられると期待できるのです。

 ところで、どんな素晴らしい科学的成果も、ひとり一人が理解でき、使える形にならなければ、地域の健康は実現できません。この取り組みを続けていくにあたって私たちは、市民の皆さんと一緒に地域の健康を考えていくことを、一番大切にしていきたいと考えています。この地域に根ざした調査から明らかになる健康の秘訣・予防の秘訣は何なのか?どうやったら実行できるのか?等々、皆さんの疑問に答えるべく、同じく地域の健康づくりを担っている「からだ館がん情報ステーション」とともに、未来の鶴岡の健康を実現する『鶴岡みらい健康づくり活動』を行っていきます。ホームページや広報つるおかを通した情報発信に止まらず、地域の集いや学習会、講演会などの場にも、みらい健康調査のスタッフがお邪魔して、一緒に健康課題解決を考えていきますので、鶴岡みらい健康づくり活動にもぜひご参加下さい。

 本調査は、市民の皆さんのご協力によって実現されているものであり、その取り組みや成果は地域で共有すべきものです。そのため調査にあたっては、鶴岡地区医師会、鶴岡市立荘内病院、山形県庄内保健所など、地域の多くの保健・医療の専門家と鶴岡市が協働して計画を練り上げ、実施に際しては、鶴岡みらい健康調査推進会議を設置し、市民の代表の方にも入っていただいてご意見をいただきながら、地域を挙げて進めてまいります。同時に、得られた成果を日本に、世界に向けて鶴岡から発信し、世界の人々の健康に貢献する役割も担っていることから、山形大学が進める「山形分子疫学コホート研究」ならびに日本を代表する10万人規模の「日本多施設共同コーホート研究」と連携協定を結び、国内・外の専門家との連携も深めています。

 大きな夢と希望を乗せた鶴岡みらい健康調査。その実現には、市民の皆さんのご協力とご支援が不可欠です。どうぞよろしくお願いいたします。

2013年3月1日



曽我 朋義

慶應義塾大学 先端生命科学研究所・環境情報学部 教授


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 私たちが鶴岡で開発してきたCE-MS法によるメタボローム解析法は、組織や血液などの体液に存在する数百種類以上の代謝物を一斉分析 できる画期的な方法です。この方法をコホート研究に応用し、生活習慣病やがんを予兆する早期診断マーカーなどを発見して、人々の疾患の 予防や健康の増進に役立てたいと思います。

2013年3月1日



お問い合わせ

慶應義塾大学先端生命科学研究所
鶴岡みらい健康調査事務局

住所 :〒997-0035
    山形県鶴岡市馬場町1-34 鶴岡地区医師会館内
メール:mirai@iab.keio.ac.jp

調査代表機関

慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室
 

住所 :〒160-8582 東京都新宿区信濃町35